日光山秋峰修行は、開山勝道上人の御遺徳としたいその足跡を辿るとともに、大峰より伝わった役行者伝来の十界の修行を修めるものです。
十界修行とは
- (1)地獄
- (2)餓鬼
- (3)畜生
- (4)阿修羅(戦いの心)
- (5)人間(懺悔の心)
- (6)天人(神々)
- (7)聲門(説法を聞いて悟る位)
- (8)縁覚(因縁を観じて一人で覚る)
- (9)菩薩
- (10)仏
の十種でそれぞれの心を自からの裡々に具わっていることを知り、仏の覚りに向かう修行です。
山王院にて十界修行を修め、その後出発。古峰ヶ原より山中に入る、ハガダテ平、地蔵岳、薬師岳と深夜の峰によじ、沢を渡り、細尾峠に下り、細尾より籠岩不動尊を経て中禅寺湖畔に至ります。宿所にて装束を改め二荒山神社にて法楽。その後、中禅寺に入り採灯大護摩大火生三昧を修行し、翌日、日光に下り山内をおねり法楽をし、昼食の後、解散し入峰円成する日光修験道最大の行事です。
かつて日光修験道の峰行は三峰(さんぶ)五禅定と称し、(1)春峰(2)夏峰(3)秋峰の三峰と、五組の修行者たちが順番に入峰する五禅定の修行が行われていました。その中でも夏峰は男体山と中禅寺湖の周囲の山々を巡り、その過酷さは想像を絶するもので、多く死者を出し、鎌倉時代には途絶えてしまいました。江戸期には春と秋の入峰ならびに三番(三組)の禅定が行われました。現在は期間を短縮した秋峰修行が行われています。